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夕方18時から、朝方4時まで開いている店の奥。
個室の、かまくらのような造りの空間には、小さく丸いちゃぶ台。
床板に直に置かれた、柔らかく蜜柑色の光を放つランプ。
そして、大きなお手玉のような、無造作に変型する枕。
これからが仕事の時間。
私はちゃぶ台に携帯電話を置いて、場にそぐわない電子音が鳴るのを待つだけ。

「おっと!」

私はちゃぶ台の上に自前の水筒を出し、携帯電話の命綱の線を繋いで、
四つん這いで壁の二つ穴に挿した。

「完璧」

他には誰もいない空間で、肩越しにちゃぶ台に薄笑いを送った途端、私の毛穴がゾワリと開いた。
携帯電話が鳴り出して、私は四つん這いのままちゃぶ台に張り付く。

「カモーン、ベイビー、イェアー!」

受話器マークを押すと、鼓膜に届いたのは英国訛りの英語だった。

――ちっ!

米語だと思った勘が外れて、私は閉じた瞼を開く。

『お待ちしておりました。お話をどうぞ…』

昨日の最初はロシア語、その前はフランス訛りのアラビア語、
その前は日本の、懐かしい故郷の言葉だった。
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