昔飼っていた犬の尻尾は丸くて、毛が黒かったけどドーナツみたいだった。


彼は時々、自分の尻尾を追いかけて土の上でぐるぐる回って、
仕舞いにはバランスを崩して腰から落ちて、
やっと尻尾の付け根を齧っていた。


人間に尻尾の名残があるという説が本当なら、
私もその名残に手を当てることができる。
けれど今、そこに尻尾はない。


やりたいことがあって、いつでも、今すぐにでも始めることが出来る。
それでも、やってはいけないと自制する。
向き合わなければならないことがあるからだ。


１人遊びすら出来ないのは、とても眉間に皺が寄る。